岩井俊二の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を原作としたアニメ映画が、夏に公開されるそうですね。
オリジナルの「打ち上げ花火〜」は50分ほどの作品なのですが、個人的にあの長さで完璧だと思うのですよ。
どのようなエピソードを追加して2時間もののアニメにするのかと心配していたら、アニメ版ではプールに不思議な玉を投げることで、何度も時間が戻る設定になっているとのこと(原作では一回だけ戻ります)。
オリジナルにはなかった、いろいろな失敗パターンの展開も見られたり面白そうですね。
あと原作では小学生だった登場人物が、アニメ版では中学生に変更しています。
小学生だからこそ可能な話なのでは…?と少々困惑しつつ、その分、行動範囲も拡がるので新しい展開も観られそうです。
岩井俊二自身がアニメ版のアイデアを出しているとのことなので、いろいろと心配しつつも楽しみにしています。
そしてこのタイミングで、岩井俊二自身が書き下ろした「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の小説版「少年たちは花火を横から見たかった」が発売されましたね。
表紙の写真がとっても素敵ですね。早速、購入して読んでみましたよ。
この小説版のタイトルは「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のドキュメンタリービデオと同じですね。
「打ち上げ花火〜」自体もの凄く昔の作品なので、その後の岩井俊二の作風や考え方の変化もあって、結果的に「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の世界観ぶち壊しの酷い内容の小説になっているかも…と心配したけれど、そのようなことはなく、雰囲気はあの作品そのままです。
小説版では、典道の回想として物語が進みますね。
1ページ目を読んだとき、そのことを理解していなかったので、随分と大人びた典道だな…と困惑してしまいましたよ。
大きな変化はドキュメンタリービデオ「少年たちは花火を横から見たかった」でも語られていた、「打ち上げ花火〜」の原点となった脚本「檸檬哀歌」を導入部分に入れているところですね。
その結果、典道がなずなの両親の離婚を知っているという展開になりました。
お話自体に大きな変化はないけれど、個人的には典道が離婚のことを知らないほうが好きかな。
夏休みが終わった二学期の様子も知ることも出来たのですが、ここらへんは「リリイ・シュシュのすべて」的というか、岩井俊二らしい。
でも、私自身、夏休み明けにガラっと世界が変わるといった経験をしたことがないのですよね。
どちらかというと、学年が変わった時のほうが大きな変化があったかな。
そうそう、アニメ版に登場するという不思議な玉が、この小説版にさりげなく登場していますね。
アニメ版の設定を知らないまま読み終わったので、この設定をあとで知って、ああっ!となりました。
不思議な玉というアイテムを、なんとも自然な形で使っていたというか、使っていなかったのですね。