ここのところ、岩井俊二監督の新作や旧作品のブルーレイ版などのリリースが続いていますね。
公開時やビデオ化されたバージョンではカットされた、危ないシーン収録の「PiCNiC 完全版」なども気になるところですが、今回、購入したのが8年ぶりの長編作品「ヴァンパイア」と震災ドキュメンタリー「friends after 3.11」の新作2本。
■friends after 3.11
スカパーでの放送後に劇場版も公開もされた、東日本大震災を題材にしたドキュメンタリー映画。
内容は反原発主張の学者さんや文化人へのインタビュー+被災地ルポといった構成。
岩井俊二が市川崑監督を題材にしたドキュメンタリーを撮ることがあっても、震災などを題材にしたドキュメンタリーを撮るなんて思いもしなかったのですが、実際に観てみると、いつもの岩井俊二らしい映画ですね(特に最後の岩井俊二と藤波心の被災地でのシーン)。
このDVD版(劇場版)とスカパーで放送されたものとの違いは「FRYING DUTCHMAN」というミュージシャンのシーンが追加されているところですかね。
藤波心の制服コスプレに違和感があったのですが、調べてみたら、撮影当日に本人がその衣装で来たようです。岩井俊二をはじめスタッフはその衣装に驚いたけれど、ドキュメンタリーなので、そのままの衣装で撮影したのですって。
■ヴァンパイア
「花とアリス」から8年ぶりの長編映画。
病身の母親と暮らす高校教師のサイモン(血が欲しい人)と、死を求めて自殺サイトに集まる少女たちのお話。
外国人俳優を起用し、カナダを舞台に全編英語で撮影した映画なので、もちろん日本語字幕が表示されるのですが、普通の外国映画の字幕とは違い、とっても自然な感じの字幕でしたね。
岩井俊二の長編はとにかくしつこくって、「ラブレター」では過去に行ったきりなかなか戻って来なかったり、「リリイ・シュシュのすべて」の沖縄パートもうんざりするくらい長いんですよ。
でも今回の映画はそのようなこともなく、どちらかというと「undo」や「PiCNiC」といった1時間ものの中編作品に近い感じですかね。
残酷な描写のある映画ですが、今までの岩井俊二作品が好きならば問題なくこの映画も面白いのではないでしょうか。
今回、監督、脚本、プロデュース、撮影、音楽、編集と6役を務めたそうで、映像も素敵だし、音楽もとても合っていたけれど、次作はガラッと変えて、岩井俊二以外のプロデュースや撮影、音楽の映画を観てみたいな。あと、やっぱり日本で映画を撮ってほしい…。