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番犬は庭を守る / 岩井俊二
先日、姪っ子(5歳)から、少しの間「たまごっち」の飼育を任せられたのですね。
一応、どのように育てるのかレクチャーを受けたものの、なんだかよくわからん…。
泣きそうになりながら、ご飯をあげたり、トイレ掃除などをしましたヨ。
あんまり、ほったらかしにしていると家出をしちゃうそうなので、とにかく家出をしなくて良かった!
というわけで、映画監督 岩井俊二の書き下ろし小説「番犬は庭を守る」。
原発事故後の放射能汚染が問題となる架空の国を舞台にしたSF小説なのですが、もともと、このタイトルを訊いたのは10年くらい前。諸事情により映画の企画が頓挫してしまったとの話でした。
それから10年、この企画をそろそろ再始動しようと思っていたところ、2011年3月の東日本大震災が起きてしまったとのこと。
作家として、原発事故前に発表出来なかったことに、無念な気持ちもあるのではないでしょうかね。
描写が過激で、救いようのない展開が延々続く内容ですが(世界観的には、岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」が一番近いですかね)、この本の最後の1行は、素直に「希望」と捉えて良いのかな。
この内容で映像化なんかしたら、ものすごくお金が掛かりそうだけど、なんとか映画化してほしいな。
小便小僧のウマソーと子供が、廃炉となった原発内部を見るシーンは是非とも映像で観てみたい。
そうそう、この本の表紙イラストは岩井俊二自身が描いていました。
今公開中の映画「ヴァンパイア」(まだ観ていない)では、サントラはもちろんのこと、ついに長編作品でもカメラを回しはじめたそうですが、ホント、なんでも自分でやっちゃう(やれちゃう)人ですね。
占星術と斜め屋敷 改訂完全版 / 島田荘司
探偵 御手洗潔(みたらいきよし)シリーズが代表作である島田荘司という本格ミステリ作家さん。
ご自身が過去に出版した作品の改訂版を比較的よく出版していて、以前に御手洗潔シリーズである「異邦の騎士」という作品の改訂完全版も出版していました。
読んでみたところ、いくつかの文章の違いには気が付いたものの、それによって格段に面白くなったかというと、個人的にはそれほどの違いはなく、オリジナル版でも変わらずに面白いといった印象。
改訂完全版を出版する理由としては、なんでも、自分の過去の作品を読んで、このような未熟な文章をお客さんに読ませるのは失礼と思うとか。
そういえば、僕自身、イラストのお仕事をしていて、自分の過去の作品を見たりすると、ちょっと修正したいといった気持ちが生まれたりします。
いや、僕の絵を知っている方には、ずっとおんなじ絵を描いていますよね?などと言われるような気がしつつ、個人的に、その時に描いたものよりも、目の大きさを一回り小さくしたい!とか思ったりもするんですヨ。
ちょこっと話がそれてしまいましたが、「異邦の騎士」を読んだかぎり、内容的には同じですし、今後、他の作品の改訂完全版が出版されても、すでにオリジナル版を読んでいるものについては、購入するのはやめようと。
なんてことを考えつつ、先日、古本屋さんで「占星術殺人事件 改訂完全版」と「斜め屋敷の犯罪 改訂完全版」を見つけたので、購入してしまった!
占星術と斜め屋敷自体、かなり昔に読んだので、正直、オリジナル版と改訂完全版との違いは分かりませんでしたが、やっぱり初期の御手洗潔シリーズは面白いなぁ。
そうそう、御手洗潔のことで思い出したのが、何年か前に訊いたことのある、御手洗潔シリーズ「暗闇坂の人喰いの木」の映画化の話。
当時はかなり期待していたものの、すっかり忘れていた映画化の話。一体どうなったんだ?と、調べてみました。
監督は、ケイゾクやトリック、最近ではSPECなどの作品の堤幸彦監督で決定。脚本自体も完成していたようですね。独特な映像を作る監督さんですが、とても面白くなりそうじゃないですか。
御手洗潔役には、竹之内豊やオダギリ・ジョーの名前が挙がっていたものの、所属事務所がシリーズものでのイメージの固定化を避けるため断ったとか(個人的には、竹之内豊は島田荘司の別シリーズ、吉敷竹史(よしきたけし)のイメージだなぁ)。
その後、堤幸彦も監督から降りてしまって、最終的に制作自体が中止に…。
御手洗潔シリーズは一度も映像化されてなかっただけに(それまで、島田荘司自身が御手洗潔シリーズの映像化の話が来た際は全て断っていた)、なんとも残念な結末。
島田荘司自身、もう日本での映像化は無理なんじゃない?と言っているようですが、どなたか映像化してくれないですかね。
出来れば「暗闇坂の人喰いの木」よりも、「占星術殺人事件」を映像化したものが観たいな。
3月のライオン7巻 / 羽海野チカ
将棋マンガ「3月のライオン」の7巻を読みました。
主人公桐山がお世話になっている、3姉妹の次女ひなたのイジメ問題も、良い方向へ展開していったので、ホッとしました。
ひなたのクラスの新しい先生、恰好良すぎだ。
7巻では、ずっとミステリアスな人物だった現名人・宗谷についても描かれていますね。
対局を前にした、宗谷のあのギリギリの感じの描写にはドキドキしましたよ。
というわけで、お仕事に戻ります。
今のお仕事が終わればちょこっと楽になるので、このまま気を抜かずに頑張ろうと思っています。
最近読んだ本
驚いたことに、2011年も残すところ1ヵ月もないのですね。
毎年言っていることだと思いつつも、今年は特に早く感じました。
急に寒くもなりましたが、お風邪など引かれたりしないよう、どうかお気を付けて下さいね。
そのようなことを書いた自分が風邪を引いてしまったりしそうなので、僕も気を付けます!
というわけで、最近読んだ本を5冊。
■さよなら!僕らのソニー / 立石泰則
ソニーがどのように今のソニーになってしまったのか書かれているノンフィクション本。
昔のソニーを好きな方は、今のソニーに対して歯痒い気持ちになっているんじゃないかと思うのですが、そんな気持ちの伝わる、とても面白い本でした。
個人的に、ソニーが「AIBO」の開発事業から撤退してしまったことが、今でも悲しいです。
■リラックマ 4クママンガ 2 / コンドウアキ
2巻もとても面白かったです。
コリラックマさんが大好きです。
■荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 / 荒木飛呂彦
「ジョジョの奇妙な冒険」で有名な漫画家、荒木飛呂彦のホラー映画紹介の本。
本の前書きに、ホラージャンルでは決してない「プレシャス」という映画を「ホラー映画だと思う!」と書かれていたので、本編は一体どのような映画が紹介されているんだ!?と恐ろしくなりましたが、ちゃんとホラー映画の紹介でした。
確かにジャンルがホラーではなくても、恐ろしくなる映画ってあるんですよね。
個人的には、日本映画の「誰も知らない」が、観ている間、本当に恐ろしかったですよ。
■福島第一原発事故 衝撃の事実 / 高橋啓三 手島佑郎
「衝撃の事実」などと刺激的なタイトルが付いているものの、内容としては、原発事故後、どのように対応をしたのかを時系列で冷静に書かれています。
事故後に発売された原発関連の本をいくつか読みましたが、この本が一番良かったです。
■漆とジャパン 美の謎を追う / 三田村有純
BSで放送していた漆器についての番組が面白かったので、何か一冊、漆関連の本を読みたい!と思い購入。
漆について様々な考察がされていて、漆という言葉自体にも、なぜ「うるし」と呼ばれるようになったのか、色々な説があるそうです。
その中で、ウルワシ(麗し)が転訛したという説が一番素敵だなと思ったのですが、なんだか濃厚な説ではないようです。残念…。